UCバークレーに見るテクノロジーの教育利用支援組織のあり方
エデュケーショナル・テクノロジー・サービスという支援組織
にある "Educational Technology Service" という組織が教育へのテクノロジー活用の支援をしている。まさに私が日本の某大学で設立に尽力した組織の目指しているものだ。現在でもなかなか大きなエンドースメントを取り付けるに至っていない。大きな違いはその規模とサービスのクオリティであろう。機材以上に大きな隔たりがあるのは、支援スタッフの充実である。
に支援スタッフの求人要綱がある。給料は年俸600万円から800万円程度だそうだけど、日本でもこうした人材が確保できないと、教育へのテクノロジー利用は難しいですね。私もこうしたところで働いてみたいが、もう少し修行しないと。。。
などがID(インストラクショナルデザイナー)の仕事とあります。そんなこと出来る人は日本にはごろごろいないと思います。どうしたらいいんでしょうかね。
平たく言うと、
- 教育工学の知見、及び教授内容を理解し、授業改善や運営の提案ができる
- PhotoshopやFlash, DreamWeaverなどを駆使するデザイナーや、コース管理システムを運用・管理しているシステムエンジニアを取りまとめて仕事ができる
という訳で、そりゃあ大変な仕事です。日本の大学ではまだまだこうした仕事をする専任者を雇うケースは珍しく(というよりもリストラが進んでいるように見えます)、教員のボランティアで成り立っているケースをよく見かけます。しかしながら、それでは教員は疲弊してしまうし、長続きしない。またスケーラブルではない。つまり、一人の先生が面倒を見られる範囲は限りがあります。
バークレーの教育支援に関して、日本でもこんな本を見つけました。
授業をどうする!―カリフォルニア大学バークレー校の授業改善のためのアイデア集
- 作者: B.G.デイビス,R.ウイルソン,L.ウッド,B.G. Davis,R. Wilson,L. Wood
- 出版社/メーカー: 東海大学出版会
- 発売日: 1995/12
- メディア: 単行本
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それから面白いのは、
に料金の一覧表があります。つまり、教員が利用するとサービス料をとられるわけです。これで支援組織の運営費を捻出しているものと思われます。よく日本の大学では、
大学はお金がないから
と言われますが、利用者から使用料を徴収することでまかなう、という手もありますね。厳しいでしょうか。コメントいただけるとウレシイです。
コース管理システムの統合
このサイトによると、バークレーでは2006年秋からbSpaceなるコース管理システムへの一本化を図るとのこと。これまではBlackboard, WebCT, Sakaiの3種のコース管理システム(授業毎のWebサイトを運用する仕組み)を運用してきたが、
- 3種類のメンテナンスをするのは骨が折れる
- 教員がどれを使うといいのか迷うことがある
ということから、Sakai1本に絞るとのこと。Sakaiプロジェクトについては別の項で詳細に解説することにしよう。
日本の大学へのヒント
著作権処理などについても詳細に書かれていて、フェアユースを実現する上で気をつけることなどが詳しく書かれている。こういうのは日本の大学でも参考になるだろう。
著作権処理については機会を改めて、eラーニング実施時における日本の著作権法の改正動向について解説したい。
とりあえず結論だけですが、
- リアルタイムの遠隔講義なら他人の著作物を送信してもよい
- 非同期(オンデマンド)での無断配信はだめ。
ってことで講義内で映画を見せたりするのは問題ないが、家から好きな時にそれを見て学習させたい場合は、個別に許諾をとらなくてはならない。
昨年、実際に番組の著作権処理をやったんですが手続きを踏めば、学内利用についてはそれほど高額ではない料金で利用可能な番組等もあります。
http://ets.berkeley.edu/TrainingSupportCenter/OtherTopics/copyright.htm