2013年のeラーニングコンテンツ
冬休みに少々時間がとれたので、カーン・アカデミーのオンライン講義をたくさん見た。特にアメリカの歴史や高校生レベルの数学の講義が面白かった。カーン・アカデミーはサルマン・カーン氏が親戚の子どもにビデオチャットで勉強を教えていて、要点をまとめたビデオを送ったところ、「直接教えてもらうよりビデオの方がわかりやすい」と言われて、どんどん講義ビデオを作成し、Youtubeにアップしていったところその数は2,000本を超え、世界中の人が勉強に使用するようになったというものだ。金融機関での仕事を辞めて、現在はサンフランシスコ郊外のオフィスでカーン・アカデミーをNPOとして運営している。現在公開されているオンライン講義は3,800本にも上る。
そして、単に講義映像を見るだけではなく、練習問題や学習ログの管理機能なども搭載されていて、理解度を測ったり、学校で予習教材として採用した場合に、学生の進捗や理解度などを先生が把握できるようになっている。おそらく、世界中でこうした取り組みが広がっていくだろう。
日本国内のeラーニングのコンテンツも、以前はMicrosoft Producerなどで作成されたビデオナレーション付きプレゼンテーションが多く見られたが、最近は秀英予備校や東進ハイスクールのように、教室で先生が行なっている講義をそのまま収録したり、スライドにいろいろ書き込みながら講義をする模様を収録したビデオ教材がとても増えている。
それぞれに共通する特徴は、作りこまれたアニメーション教材などではなく、黒板に向かって迫力ある講義をする先生の様子を高画質で配信していたり、非常に音声の品質が高くて移動途中に聞いても十分なクオリティに仕上がっている点だ。
こうした講義収録型であれば、パソコンとマイクとビデオカメラがあればよいので、数万円の投資でオンライン講義を作成できるようになった。道具よりも先生そのものの魅力や、内容の充実度がよりわかりやすくなっている。
ということで、今年は私もいろいろな大学で開催しているMoodleワークショップの内容を収録して配信し、みなさんに役立てていただきたいと思う。
Moodle 2.4が登場
2012年末にMoodle 2.4がリリースされた。
それに合わせて執筆していたMoodleガイドブックのスクリーンショットを差し替え、内容を更新した。
公式サイトのニュースでは、
- 標準のアイコンが全て変更になった。
- パフォーマンスの向上が図られた。
- プラグインの更新がブラウザ上から可能になった
- グループ課題などの新しいタイプの課題作成ができるようになった。
- コースの表示レイアウトを制御するコースフォーマットプラグインが導入された
などが大きな特徴として挙げられている。
コース管理システムとしてはかなり成熟しているので、これ以上高度化しなくてもいいだろう。
それよりもコンテンツが充実されて、いろいろな人が学びたいことを学べる環境をどんどん作っていけるといいなあ、と思う。
ということで、2013年は自分もチャレンジしてみようと思う。
Moodleの録画クライアントが登場
Moodle公式サイトのニュースによると、Google Summer Of CodeにおけるMoodle関連の開発が無事に終了し、プロジェクトの成果物が公開された。
その中でも興味深いのが、メディアキャプチャが可能なプラグインである。
http://moodle.org/plugins/view.php?plugin=repository_mediacapture
上記からダウンロード可能なので、Red 5とともにインストールして試してみたいと思う。
ただし、Red 5 がバージョン0.9.1でないといけないようなので、注意したい。
Moodle MobileがHTML5化へ
さて、以前にも触れたMoodleのモバイルアプリだが、Objective Cによる開発を止めて、Phonegapを利用したHTML5クライアントアプリとして実装するというプランが公式サイトで発表された。
発表の要点は以下の6点。
- HTML5版のモバイルアプリはMoodle Mobileと呼び、スペインのCV&A Consulting社のエンジニアを中心に開発を進める
- ネイティブアプリよりは動作が遅くなるが、PhonegapがサポートするOSであれば同時にリリース可能になる。
- XML-RPCではなく、RESTプロトコルでデータのやりとりを行うため、若干通信パフォーマンスがよくなる
- モジュール構造で開発するため、機能単位での改変や開発への参加が可能。
- GPLで配布するため、各大学でカスタマイズしてビルドしても構わない。
- 今年度末にMoodle 2.4をリリースするタイミングでこの公式アプリをリリースしたい
上記から考えると各大学でインタフェースをカスタマイズし、自前のアプリを配布することが可能になる。
すでにこのアプリの原型は配布されているので、まずはビルドしてみよう。
また、iOS以外でも同じ作業で動作させられるのは魅力的だ。
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Moodle 2.2活用ガイドを書き始めました。
Moodle1.9系列からMoodle2.2への移行をおすすめしているが、学内のマニュアル類等も更新する必要が出てきます。
そこで、Moodle 2.2の利用方法について説明する文章を書き始めました。
まずは、ファイルの掲載方法について解説したが、今後は昨今急増しているスマートフォンからの利用なども想定して、メディアファイルの作成方法や、Moodle公式のiOSアプリ、ビデオカンファレンス機能などについても解説していきたいと思います。
もし、ご意見等があればサイトにコメントいただくか、問合せフォームから連絡してくださるようお願いします。
今月中くらいであれば、印刷原稿に反映できると思います。
Moodle2.2のファイル管理機能を使う
Moodle公式iOSアプリのリリースに伴って、弊社のユーザ校のMoodleサーバ環境の増強およびバージョンアップを実施しました。
PHPも5.3.2以上でないと動作しないので、PHPのバージョンアップもしました。しかし、PHPをバージョンアップしてしまうと、Moodle 1.9の動作に支障が出ることもわかりました。ですので、1.9系と2.2系を同一サーバで併存させるのは困難になります。ちょっと不親切な気もしますが。。
旧サーバから新サーバへのデータ移行をお手伝いしていて、ちょっととまどうことがありました。
Moodle 1.9系列では、コース管理メニューに【ファイル】という項目があったのですが、Moodle 2.2になり、コース管理メニューからリンクがなくなってしまいました。
やりたいことは旧サーバのコースファイル群を新サーバに引っ越すことです。
ファイルの救出方法ですが、
1.コースを開く
2.管理メニューの「ファイル」を開く
3.救出したいファイル、またはフォルダの前のチェックボックスをチェックする
4.「選択したものを」というプルダウンから「zip書庫を作成する」を選択する
5.zipファイル名を指定するページが出るので、必要ならファイル名を変更する。デフォルトはnew.zip
6.するとファイル一覧に new.zipが現れる。
7.クリックするとローカルに保存される
8.展開するとファイルの内容を参照できる
ここまででローカルのPCにファイルが保存されます。
そして、
9.ファイルを利用したい新サーバ上のコースに入る。
10.編集モードをONにする
11.「リソースを追加する」から「フォルダ」を選択する
12.フォルダ名をつける。たとえば、「バックアップファイル」など。
13.オプションの【コンテンツ】にて【追加】ボタンをクリックする
14.ファイルピッカのウィンドウが開く
15.6番のzipファイルを選択し、【このファイルをアップロードする】ボタンをクリック
16.アップロードが完了すると、編集ページに戻る
17.zipファイルの右のアイコンを押すと表示されるメニューから【展開】を選択すると、サーバ上でzipファイルが解凍される
18.zipファイルが不要な場合はzipファイルの右のアイコンをクリックし、【削除】できる。圧縮ファイルをとっておきたい場合はそのままでよい。
という手順でファイルをアップロードします。
http://docs.moodle.org/22/en/Working_with_files
に公式マニュアルがあります。
また、
http://www.youtube.com/watch?v=IrOKxYRJvGU
にチュートリアルビデオ(英語)があります。
Moodleはこのファイルの扱いがもっとも理解が難しいところで、これさえクリアすれば資料配布だけにとどまらず、課題や小テストなどがうまく利用できます。
Moodle入門もこれだけインタフェースが変更になると役立たないので、内容を一新する時期に来たと思います。
ということで、しばらく執筆活動に時間を割きたいと思います。