テクノロジーによる教育支援への挑戦

テクノロジーによる学びの支援へのチャレンジについて書いていきます

著作権処理に関する法律の動向

eラーニング著作権

eラーニングを実施する際に必ず否定派から出てくる意見に以下のようなものがある。

eラーニング著作権の問題が出てくるから危険だ。そんな危ないことは止めましょう

しかしながら、著作権処理の対応をしなくてはならないからといってeラーニングのよい面を活用しないのはもったいない。せっかくなら著作権処理について正しい知識を持ち、法に犯すことなく胸を張ってその良い面を活かすのが得策ではないだろうか。

eラーニング著作権に関する法律を理解するのに基本となるのが、

公衆送信

という概念である。講義を配信する際にその送信形態により対応が異なる。

公衆送信には、

  • 放送 (2条1項8号)
  • 有線放送 (同項9号の2)
  • 自動公衆送信 (同項9号の4)

の3種類がある。

また、

公衆送信権

というのは、著作者が有線・無線により公衆送信を行う権利であり、23条で定められている。先の3形態の中で、自動公衆送信の場合は送信可能化を含むことを名文で定義している。

送信可能化は2条1項9号の5で定義されており、インタラクティブ送信を行う前段階の行為として、ネットワークを介してサーバやホストコンピュータ上の情報をインタラクティブ送信できるように、著作物をアップロードしたり、入力したりすること等を指す。(加戸守行『著作権法逐条講義(4訂新版)』(著作権情報処理センター、2003)38ページ)

改正法35条

学校その他の教育機関における複製等 平成15(2003)年改正法35条は2003年6月に公布され、2004年6月1日に施行された。

著作権法

http://www.houko.com/00/01/S45/048.HTM

にて参照できるが、35条について読んでみよう。

(学校その他の教育機関における複製等)
第35条 学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における使用に供することを目的とする場合には、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
《改正》平15法085
2 公表された著作物については、前項の教育機関における授業の過程において、当該授業を直接受ける者に対して当該著作物をその原作品若しくは複製物を提供し、若しくは提示して利用する場合又は当該著作物を第38条第1項の規定により上演し、演奏し、上映し、若しくは口述して利用する場合には、当該授業が行われる場所以外の場所において当該授業を同時に受ける者に対して公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行うことができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該公衆送信の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

http://www.jbpa.or.jp/35-guideline.pdf

ガイドラインは具体例を挙げており、とても参考になる。

また、試験問題などにおける利用も改正されており、これについても後ほど解説したい。

インターネット利用時の著作権利用に関しては、もうすぐ最新著作が出ます。

「どこまでOK?」迷ったときのネット著作権ハンドブック

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私も出たらゲットしたい。